あいちの注目企業

2024.05.01
優れたアイデアマンがニッチな市場を探し出す
tantore株式会社
代表取締役 中河原 毅
愛知県豊橋市向草間町字向郷22

 今回は2018年に創業したtantore株式会社(以下:タントレー)です。
 豊橋でトリュフの人工栽培が始まっている驚きのお話です。本社は豊橋市にあります。公共交通機関を利用する場合は、JR・名鉄豊橋駅で豊橋鉄道渥美線に乗り換え5駅目の「高師駅」下車、徒歩10分程の住宅地にあります。車を利用する場合は、音羽蒲郡インター下車又は豊川インター下車してから50分程要します。

会社の沿革

 当社は2018年に愛知県豊橋市に設立しました。代表取締役である中河原 毅氏(以下:中河原社長)は優れたアイデアマンでニッチな市場を探し出すセンスを持たれています。

○事業内容
 ・メッシュ及びメッシュフィルターの企画・開発・製造・販売
 ・備蓄高性能マスクの企画・開発・製造・販売
 ・シート状サプリメントの企画・開発・製造・販売(tantore sheet)

 様々な金網や樹脂製メッシュの知識・技術を活かして、さまざまな用途や枚数、大きさなどに対応加工しています。具体的には、オイルや塗料の濾過、微細粒子を取り除く篩、電磁波遮断メッシュなど用途は多岐にわたり、自動車関連・化粧品メーカ・食品・大学・病院などで使用されています。

 また、メッシュの加工技術を活かし、世界最密の備蓄高機能マスクや匂いトレーニング成分をマイクロカプセルに閉じ込めたマスク、防水性に優れた超強力台風防水シートなど、メッシュの可能性が広がる製品開発にも力を入れています。

 2024年2月に「舌筋トレーニング向けシート状グミtantore sheet (タントレシート)」という、無呼吸症候群と誤嚥性肺炎予防の課題解決を提案した製品で「第6回あいちサービス 知事賞」を受賞しました。

 製品開発のキッカケは歯科医師との会話からです。口を開けて治療していると、加齢により自然と舌が喉の奥に下がってしまい、これが嚥下につながります。これを聞いた中河原社長が閃きました。

 多様なメッシュ素材を扱っているため、口の中で溶ける薄いメッシュ素材を使って製品化を試みました。

トリュフ

 トリュフは、世界三大珍味として知られる高級食材で、生きた樹木の根と共生する「菌根菌」の一種です。地中に埋まっているため、発見し採集することが容易でないため、豚や犬の嗅覚を利用する手法がとられています。マツタケと同じく、人工栽培はとても難しいキノコであるため、日本国内で流通するトリュフは全てヨーロッパや中国などの輸入品です。

 キノコになる菌類のなかでも、トリュフは「子のう菌類」に分類されます。子のうと呼ばれる袋状の構造をしていて、半分に割ると霜降り状に色がついた胞子が現れます。この部分は、白トリュフでは淡いクリーム色をしており、黒トリュフでは黒くなります。今回は黒トリュフが対象です。

落雷とトリュフ

 日本でも40年ほど前に黒トリュフが見つかり20種ほどのタイプがあるようです。このうち食用としての黒トリュフは「アジアクロセイヨウショウロ」、白トリュフは「ホンセイヨウショウロ」と命名されています。

 気象条件や土壌条件によりますが、黒トリュフは北海道から九州まで、白トリュフは東北地方から中国地方に分布しています。トリュフは雷の落ちた場所に生えると聞いて、実際に中河原社長は長野県や新潟県で黒トリュフが自然に取れる場所へ足を運びました。その場所の磁場を測定すると確かに近くと異なる磁場でした。

 この磁気力の及ぶ空間(くうかん)を磁界または磁場(じば)といいます。シャーレにトリュフ菌を入れて電気信号のある空間に置いたら菌が反応し成長しました。他方、プラズマ磁場に置いたときは菌が死滅しました。

磁場装置と育成容器

 無菌状態の透明カプセルの中に松の苗木を入れます。苗木の根っこにトリュフ菌を散布します。容器のところどころに白い小さなバクテリアシールが貼ってあります。この容器を円形の電気信号を与える独自開発機器に毎日1時間置くだけでトリュフ菌が成長します。ビニール袋の中にあるのは、実際に磁場を当てて黒いうずらの卵程の大きさになったトリュフです。

 ビニールハウス栽培では常に温度管理、湿度管理が求められ電気代、重油代、ガス代の費用が必要になります。常これらの費用を抑えた栽培方法を開発したいと中河原社長の考えていたため、まさにトリュフ人工栽培は中河原社長のロマンに合致します。

大手電力会社と共同して

 北海道電力発電所の地下室は15℃と一定です。ここに発生装置を準備して生産を開始します。5月から設置計画がスタートします。高単価(握りこぶしほどで約10万円)商品が安定して生産できれば農業のやり方が大きく変わります。

近い将来に苺やメロン、マンゴーなど

 発生装置を使って苺栽培やメロン栽培にも可能性があります。ビニールハウスではなく、環境維持にコストが掛からない野菜工場などに発生装置を準備して苗木に電気信号を与えます。

取材を終えて

 2016年にあいち産業振興機構は、中河原社長へ取材しています。ネットあいち産業情報 企業ルポ あいちの製品です。当時の会社名や所在地は異なっておりますが8年後に異なる着眼点の製品で取材される辺りが優れたアイデアマンの証です。
https://www.aibsc.jp/nsj/02seihin/170101_01/print.shtml

タントレー株式会社(tantore株式会社)
https://tantore.co.jp/company/tantore/

企業情報 イプロスものづくり
https://www.ipros.jp/company/detail/2105704/

「第6回あいちサービス大賞」「tantore(タントレー)」が最高の知事賞
https://www.higashiaichi.co.jp/news/detail/12694

舌筋トレーニング向けシート状グミ
tantore sheet (タントレシート)で 無呼吸症候群と誤嚥性肺炎予防の課題解決の提案
https://www.aichi-service.jp/bosyu/bestpractice/2023/tantore%E6%A0%AA%E5%BC%8F%E4%BC%9A%E7%A4%BE/

tantore sheet ユーザー動画
https://www.instagram.com/reel/Czr7Zo5SIBQ/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA==

知的財産経営ハンズオン支援事業
https://www.chubu.meti.go.jp/b36tokkyo/sesaku/hands_on/jirei/05fy/1_jirei.pdf